仮説実験授業とピア・インストラクションの比較  
徒然想

質問

教育手法で、仮説実験授業とピア・インストラクションは共通部分もあれば、決定的に異なるところもあります。 それぞれの学習手法の根底にある学習観は何で、共通点と相違点を明確に解説してください。

解説(Sonar)

仮説実験授業とピア・インストラクションは、どちらも「生徒が主体的に学ぶこと」を重視し、 学習者同士の相互作用を通して理解を深める点で共通しています。 しかし、その背後にある学習観と授業設計の焦点には明確な違いがあります。

1. 仮説実験授業の根底にある学習観

仮説実験授業(提唱者:板倉聖宣)は、日本で発展した理科教育の方法で、 その根底には構成主義的な学習観があります。

学習者が自分の頭で考え、「科学的思考のプロセス」を体験しながら知識を構築することが重視されます。

2. ピア・インストラクションの根底にある学習観

ピア・インストラクション(提唱者:Eric Mazur)は、アメリカで生まれた大学物理教育改革の方法で、 その根底には社会的構成主義的学習観概念変容理論があります。

ピア・インストラクションは、他者との相互作用による認知的葛藤と再構築を核に持ちます。

3. 共通点

4. 相違点

観点 仮説実験授業 ピア・インストラクション
学習観の基礎 構成主義(個人の内的思考) 社会的構成主義+概念変容理論
中心となる活動 自然現象に対する仮説を立て、実験による検証 概念問題に対して個人回答→仲間と討議→再回答
目的 科学的思考と仮説検証の方法の習得 誤概念の修正と深い概念理解
教師の役割 学習のプロセス設計と生徒の思考促進 学習状況の即時把握と議論の促進
主な対象 小中高の理科教育 大学レベル(特に理工系科目)

5. まとめ

仮説実験授業は「個人の思考を中心に科学の方法を自ら構築していく学び」、 ピア・インストラクションは「他者との対話を通じて誤概念を乗り越え、正しい理解を社会的に再構築する学び」といえます。 両者は「学習者主体」という共通基盤を持ちながらも、焦点が「思考プロセス」と「概念変容」で異なります。