レポート

表題(認知行動療法のWebARアプリ開発)副題(Shepard & Metzlerの心的回転(メンタルローテーション)課題とPiaget,J. & Inhelder,B.の3つの山問題のARアプリ化)

1. 研究背景

高次脳機能のミーティングに参加したときに高次脳機能障害について初めて知りました。高次脳機能障害は病気や事故などを理由に脳に損傷を負うことで,記憶障害や注意障害が生じ,日常生活または社会生活に制約がある状態が高次脳機能障害であり.厚生労働省の平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者実態調査)1)によれば、医師から高次脳機能障害と診断された者の数は327千人と推定されています。〔本人・家族等からの回答に基づく推計値〕これを平成28年度の日本の人口は1億2693万3千人(総務省統計局調査)2)で割るとおよそ388人に一人が高次脳機能障害を抱えている計算になります.

3つ山課題とメンタルローテーション課題の比較

3つ山課題について

三つ山問題 は,PiagetandInhelder(1956)によって 最初に考案 された課題である。彼らは,様々な角度 か ら見 ると見えが異なる ような三 つの 山 の配 置 を,児 童 に,あ る1つ の角度から見せ,自 分 とは異 な る位 置 に い る人 形 か ら見 た ら どの様 に見 え るか を尋 ね た。

自分自身のみえを答えるだけのⅡAと呼ばれた段階から、異なる視点を表現しようとして失敗するⅡB段階、視点とみえとの関連性に気づくがまだ不十分であるⅢA段階を経て、正しく反応できるⅢB段階に至る発達的変化が示された。ピアジェ理論の中心概念である自己中心性に深く関わる、空間的他視点取得能力を測定する良い指標となり得ると思われたため、3つの山問題及びその類似課題を用いた研究が盛んになされた。なお"3つの山問題"という邦語は、わが国で最初にこの課題を用いた研究を報告した、田中(1968)に従った。

3つのやま課題

メンタルローテーション課題について

メ ンタル・ローテ ー シ ョン問題 に関 して は,Shepard and Metzler(1971)が 最 初 の実験 を行 っ てい る。 その 実 験 で は,材 料 として,水 平 方向,あ るい は奥行 き方 向 にお いて回転 させ る と一致 す る3次 元 の立方体 の線 画 の対 と,鏡 映 関係 な ので 回転 させ て も一 致 しない対 が 用意 され た。被 験者 は,対 呈 示 され た2つ の線 画 を 回転 させ,同 じか否 か(鏡 映関係)を 判 断 させ られた。 その判 断 にかか った時 間 を反 応時間 と して測定 した。 その結 果,反 応時 間 は立体 を回転す る角度 に関 して直 線 的 な関数 を示 した。さ らに,Cooper & Shepard(1973) は,イ メー ジ化 され た対 象 を回転 す る準 備 時間 を統制 して,反 応 時間 は,イ メ ー ジを もう一方 の 図形 に当 て はめ る まで 回転 す るため にか か る時 間で あ るこ とを明 らか に した。

メンタルローテーション課題 メンタルローテーション課題

3つの山問題を解くためのプロセス

三 つ山 問題 を解 くた め に,(1)他 者 に は何が 見 え て いるの か,(2)そ の他者 に どの ように見 えてい るの か につ いて の2種 類 の知識 が必 要 で あ り,そ れ らは発達 に したが って獲 得 され る と考 え られ た(Flavell,1978)。

メンタルローテーション課題を解くためのプロセス

Shepardら は,メ ンタル ・ロー テー シ ョ ンの プ ロセ ス を,(1)イ メ ー ジ化 す る,(2)イ メー ジ化 し た もの をアナ ログ的 に回転 す る,(3)像 を比 較 す る,(4) 筋 肉運動 によ って応 答 す る とい う4段 階 にわか れて い る と考 えて い る。

3つの山の問題とメンタルローテーション課題の相違点の研究

三つ山型 課題 と メンタル ・ローテーション型課題は独自の研 究 の流 れ を持っている。一方,三つ山型課題とメンタル・ロー テーション型課題の両者を明確に比 較 しよ う とした研 究 は少 ないが い くつか み られ る(Youniss & Robertson, 1970;Huttenlocher & Presson,1973,1979;Presson,1982)。 Youniss and Robertson(1970)は,同 じ被 験 児 を用 いて,三 つ山型課 題 とメ ンタル ・ロー テー シ ョン型課 題 を行 ったが,彼 らが使 用 した材料 が2つ の課 題 で異 な って いたた め,2つ の課 題 を比較 す る こ とはで きな か った。一 方,Huttenlocher and Presson(1973)は, 同 じ材 料 を用 いたが,異 な る被験 児(小 学3,5年 生)に 対 して三 つ 山型課 題 とメ ンタル ・ロー テー シ ョン型課題 を行 っ た。 その結果,課 題 のパ フ ォーマ ンス とエ ラー パ ター ンに相違 を発 見 した。(福田 1991)

これ よ り,三 つ 山型課題 を解 くた め には,(1)イ メー ジ化 され た観 察 者 が動 き, (2)そ こか らの見 えを推論 す る2つ の段 階が あるが,メ ン タル ・ロー テー シ ョン型課題 で は,(1)イ メー ジ化 さ れ た対 象 を回転 させ る とい う1つ の段 階 しか ない こ と が 考察 され た。

実験

三 つ 山型課 題 で は,被 験 者 は視点 を転 換 す る こ とに よっ て問題 を 解 決 して い る と考 え られ る。一・方,メ ンタル ・ロー テー シ ョン型 課 題 で は,被 験 者 は視点 を動 か さず,イ メー ジ内の対 象 を動か す ことに よ って解決 して い る と考 え られ る。 そ の視 点 を転換 す る とい うイメー ジ操 作 が必 要 か否 か に よ って,課 題 の遂 行 に相違が 生 じて いるの だ ろう。 そ こで,本 研究 で は2つ の課題 に同 じ被験 者 と同 じ材 料 を用い,三 つ 山型 課題 と,メ ンタ ル ・ロー テー シ ョン型課 題 を解 決 す るた め に必要 な イ メー ジ操 作 の異 同 を明 らか にす る。

実験方法

(1)三つ 山型課題:ボ ー ドが 動 かな い こと と,4つ の 立体 が それぞれ別 の もので あ る ことを確 認 させ た。 そ の後,被 験 者か ら見 えない よ うにつ い立 て を して,4 つ の立 体 を ランダム に ボー ドの4辺 上 に配置 した。 そ の刺 激 の配 置 を被 験)者に見せ た後,再 びつ い立 て を し, 白い線 をボー ドの90.,180.,2700の どれ かの辺 に沿 って 置 い た(置 き方はランダムである)。 同時 に反 応 用写 真 ボー ド1枚 を置 き「白い線 の とこ ろにあ なたが行 って,ボ ー ドの上 の4つ の立 体 を見 た とした ら,ど の様 に見 え ま す か。8つ の写真 の うちか ら1つ を選 んで,指 で さ し て下 さい」 と教 示 した。 そ して,つ い立 て を取 る と同 時 に ス トップ ウ ォ ッチ を始動 させ,被 験)者が写 真 を指 す までの時 間 を反 応時 間 として測定 した。反 応 の正誤 にかか わ りな く,「 はい」とフ ィー ドバ ック した。 この 手続 を1人 の被験 者 に たい して,呈 示 す る4つ の立体 の配 置 をか えて6試 行 行 っ た。 (2)メ ンタル ・ロー テー シ ョン型課 題:手 続 は三つ 山 型課 題 とほぼ同 じで あ る。 ただ し,ボ ー ドを画鋲 と発 泡 ス チ ロー ル を用 いて回 る よ うに して,被 験 者 の前 で 実 際 にボー ドが 回 る こ とを見 せ,確 認 させ た。 また, 「白 い線 の と ころの辺 を 自分 の前 に 回 して持 って きた と した ら,ボ ー ドの上 の4つ の立体 は,ど の様 に見 え ますか 。8つ の写 真 の うちか ら1つ を選 ん で,指 で さ して下 さい」 と教 示 した点 が 異 なる。

実験結果

三 つ 山型課 題 を解決 す る ため に,被 験 者 は視 点 を 目標 地 点 に動 かす 第1段 階 と, そ こか らの見 えを再構 成 す る第2段 階 の操 作 を行 わ な くて は な らない。一 方,メ ンタル ・ロー テー シ ョン型 課題 で は視点 を固定 した ま ま,対 象 を動 か す とい う操 作 だ けで課 題 を解決 で きる と考 えられ る(福田 1991)

空間的視点取得能力を取得することにより、役割取得能力(自己の立場からだけで はなく,他者の立場に立ち,相手の感情や思 考を理解することのできる能力 (Selman, 1976))を得られるのではないかと考えた。参考(渡邊p107)

空間的視点取得の本質とは「もう一人の自分」を柔軟に操作できるようになることであり,さらにこのイメージ操作は身体性の制約や課題状況に応じても多様に変化する(渡邊 2003)

感情的役割取得課題と認知的役割取得課題にFlavell, Botkin, Fry, Wright,& Jarivis (1968)による空間的視点取得課題を組み合わせて,幼稚園児と小学2 4 6年生の4群における課題成績の関連を分析した研究がある ここではさらに 関連する指標として保存の理解 ( Rubin, 1973 )., ,精神年齢,生活年齢,人気度も取り上げられた.結果は,全ての視点取得課題において年齢とともに得点が上昇し,さらに因子分析により人気度以外の全ての測度に負荷する第1因子が得られ “自己中心性 ,の因子”であると解釈された.

この例のように,複数の視点取得課題を課して課題間の相関係数や因子構造を算出する手法が 共通項を探るこの種の研究の基本である , .さらに,対象年齢を老人にまで広げたり,視点取得能力 (Rubin, 1974)を測る課題を複数用いるテスト・バッテリー手法を取り入れたりする工夫も加えられて,これまでに多くの研究が行われてきた(麻生, 1980; Cox, 1991; Houssiadas & Brown, 1980;Light, 1983; , 1983, 1984; Waters & Tinsley, 1985 松村 .)

その結果は,「一貫した関係が見られるものは少なく」(木下, 1977b,p.1989),ある程度高い相関のみられたものとそうでないものとが混在していた.このことから,視点の認識能力の存在に疑問を投げかける者も現れた.しかし 「共通の認知構造ができても,領域の特殊性や他の要因によって課題の難易が変わる 松村 」 , 1983, p.22のであるから 必ずしも同時に変化が生じないこともある そのため ,両能力間には共通するところがないなどと結論を短絡してしまうことは危険であろう.(渡邊 2003 p42)

相関研究のこうした限界を乗り越えるために,一方の視点取得能力への訓練が他の領域へも波及効果を持つことを示そうとしたり( Zaks& Labouvie-Vief, 1980; Matthews, Beebe, & Bopp, 1980),視点そのものの認識(後述する による表現では視点認識に関する“水準1”に Flavell, 1974相当)を直接捉えようとしたりする( Klemchuk, Bond, & Howell, 1990)試みもなされた.例えば後者の研究では,2~6歳までの子どもを対象に,課題固有の情報処理をほとんど必要としない,すなわち視点取得の認識のみで解決できる空間的並びに感情的視点取得課題を計5種類実施し,これと母親の知能,行動評定,家庭状況など他の3つの指標とを合わせて因子分析を行った.その結果,知能や認知,言語発達などと明確に区分される視点認識能力の存在を示したと主張している.

しかし,これだけで十分な解明がなされたわけではない.空間的視点取得の本質的特性やその発達過程などについて真の理解に至るには 「各課題によって測られている能力を分析して」(木下 , , , 1977bp.1989)課題に固有な情報処理を明らかにし,空間的視点取得「能力を構成しているものについての仮説的構造をつくり上げる」(木下 ,1977b p.1989 , )努力が必要である.そのために,実験課題の解決に要する能力の分析を一層詳細に行い,能力間の結びつきを明確に示すことが有効であろう.本研究で実施する実験1~4は,これを目的とするものである.

参考文献

児童と位置関係の理解(田中 1968)
視覚的イメージ操作に関する発達的研究 三つ山型課題とメンタル・ローテーション型課題の比較(福田 1991)
空間的視点取得能力に関する発達心理学的研究(渡邊 2003)

認知行動ミーティング議事録(10/07)

・人形が置かれたやつもあったほうが良い

フィードバック画面では患者の症状や傾向によって異なるためアドバイスは出せない,問題の正解か不正解を提示する

認知行動ミーティング議事録(10/07)

・人形が置かれたやつもあったほうが良い

フィードバック画面では患者の症状や傾向によって異なるためアドバイスは出せない,問題の正解か不正解を提示する